ひんやり


 今夏は例年以上に、此処ミッドガルでも暑さが厳しい。そこで、俺とザックスがいつも利用している暑さ対策アイテムを紹介しよう。
 まずは基本アイテム、保冷剤だ。
 これは大中小様々な大きさを揃えて、常時冷凍庫へ入れてある。食品、特に生ものや冷凍品の類を買った時、店で貰ったものが大半だ。中には買ったり、有り難く頂いたりしたものもある。凍らせても固くならない保冷剤は、かなり良い。専用のカバーに入れて首に巻いたり、額に当てたりしても固さが気にならないからな。
 そういえば店で貰った保冷剤で、中身が消臭効果のある液体が入っていた事があった。溶けたら生ゴミにかけて、無駄なく使えるから重宝した。ちなみにゲル状のものは、俺が住んでいる地区では可燃ゴミだ。ゴミの分別はきちんとせねばな。
 次に、氷嚢。
 熱を出した時や打撲した時など、どちらかと言えばいざと言う時に使用するイメージを持っていたが、これが実は結構使える。今年初めて購入してみたが、本体が青地に白の大きめの水玉模様だ。結構可愛いので、ザックスもお気に入りだ。中に氷と水を入れて使うが、蓋をきちんと閉めないと悲惨な事になるから注意だな。
 ちゃぷちゃぷと涼しげな水の音がするし、柔らかいので気持ちいい。ザックスは良く「ちゅめたーい」と言いながら、ほっぺたをくっつけている。本当に可愛い奴だ。
 次は冷却タオル。
 これは店頭でサンプルを見た時に、面白いと思った。濡れているのに、濡れていないような手触りがする不思議なタオルだ。タオルと言っても素材はつるんとしていて、所謂普通のコットンタオル等とは異なっている。水に濡らして軽く絞って使うが、首筋に掛けたりするとひんやりとして心地良いタオルだ。
 俺は緑、ザックスは青で少し小さいサイズを使っている。夜洗って吊しておいたら、翌朝乾いて見事に固まっていた。まるで乾物のようになって、ザックスは笑い転げていたな。この状態で無理矢理畳もうとすると、破損してしまうので要注意だ。外出時にはチャックが付いたポリ袋を一緒に持って行くと、使わない時にバッグの中を濡らさずにしまえるから安心便利だ。ちなみにザックスのタオルのポリ袋には、可愛いペンギンが描かれている。日用雑貨コーナーで見つけて、思わず買ってしまった……。本人も気に入ってくれたので、良かった。
 さて次は最近ザックスが……、ん?


 「あんじーゆー」
 「どうしたザックス」
 ぱたぱたと駆け寄ってきたザックスを、アンジールが抱き上げる。
 「あんねー、しちゅじしゃんねー、ちゅめたくなーい」
 そう言いながら、ザックスはアンジールに自分の手首を見せる。ザックスの両手首には、リストバンドのような物が巻かれていた。それはふわふわのタオルのような素材で出来ていて、ひんやりと涼しげな水色。双方に可愛らしい羊の刺繍が施されている。
 「そうか、ザックスが遊んでいる間に、温くなってしまったな。じゃあまた、冷凍庫で冷やそう」
 キッチンまで移動して、ザックスを床に下ろす。両手首に付いているリストバンドはマジックテープで着脱可能だ。ザックスが片方ずつぺりぺりと小さな音をさせながらリストバンドを外すと、アンジールがその中に入っている小さな保冷剤を取り出した。そう、中に保冷剤を入れられるようになっているのだ。ふわふわの生地だから伝わる冷たさは優しくて、冷えすぎる事がない。
 これは最近ザックスがお気に入りで良く使っているアイテムだ。タオルみたいな素材だから、そのまま額の汗もぬぐえてしまう優れもの。その辺りはザックスも良く分かっているらしくて、時折「ふー」と言いながら一人前に額の汗を拭う姿は、アンジールにとって可愛いやら可笑しいやらだ。
 がらがらと冷凍庫の扉を開けて、小さな保冷剤を入れる。ザックスが冷凍庫に向かってふーっと息を吹きかけると、白い冷気がふわふわと飛び出した。規則正しく並ぶ保存容器やジッパーの袋に紛れて、下の方に見えているカラフルな箱はどうやらアイスのようだ。夏の冷たいおやつ。
 「ザックス、羊さんはどうする? このまま外しておくか?」
 「んとねー……」
 手首から外されたふたつのリストバンドを見ながら、ザックスが迷う。このまま着けたら冷たくはないけれど、汗を拭く事はできる。さて、どうしよう。
 するとアンジールがこんな事を言った。
 「羊さんも冷やすか?」
 「しちゅじしゃんも?」
 「冷蔵庫に入れたら、冷たくなるぞ」
 「うんっ!!」
 アンジールがザックスを抱えて、冷蔵庫の扉を開ける。ザックスは小さいから、扉を開ける事ができないのだ。牛乳に卵やハム、瓶に入ったジャムにおやつのプリンとか、冷蔵庫には色々な物が入っている。一番下の棚が都合良くスペースが空いているので、ザックスはそこにリストバンドをちょこんと置いた。冷蔵庫の中に小さな羊が二頭、横たわる。
 パタン。
 「しちゅじしゃん、すずしーねー」
 「涼しいだろうなぁ」
 「しちゅじしゃん、れーぞ−こー!!」
 抱き上げたザックスが笑いながら首筋にぎゅっと抱き付いてくる。この季節は高めの体温が少しだけ暑いけれど、それは決して不快ではなくて寧ろ心地良いくらいだ。アンジールは小さな頭を撫でる。汗で髪の毛がしっとりとしていた。子供は汗っかきだ。
 「ザックス、汗かいたな。お茶を飲もうか」
 「むぎちゃ?」
 「あぁ、麦茶だ」
 香ばしい麦茶は夏の定番。ふたりとも大好きだ。シンクに置かれた大きなボウルには、煮出した麦茶が入った涼しげなガラスボトルが氷水に浸かっている。
 「ザッくん、むぎちゃしゅきー」
 汗をかいているガラスボトルを見て、ザックスは楽しそうに笑った。そんなザックスを見て、アンジールは嬉しそうに笑った。




 20110816

アンジールの部屋のベランダには、きっと緑のカーテンがあるに違いない。そしてザッくんは朝顔で色水を作って遊ぶと良いな。
今夏、個人的に利用している暑さ対策アイテムを、ふたりにも使って貰いました。笑。
差し入れ等で頂いたアイテムも、大変重宝しております。どうも有り難うございました!!