その扉の向こうは、ふたりだけの世界。くぐると同時に、どちらから共なく手を繋ぐ。
ソファに座って笑い合い、時には凭れ合って眠る。気付けば上から覗き込まれていたりして、恥ずかしさに頬を染めた。
ラグマットの上は素足の感触が心地良い。昼下がりにじゃれ合って、軽いキスを何度も交わす。ふたりして寝ころんだら、足先が触れた。
湯気が立ち籠める浴室で、泡まみれになって笑う。バスタブの中でそっと静かに湯を掛け合う。自分達の間にゆらりと存在する温かい物体が、酷く心地良くて瞼を閉じる。ちゃぷんと音を立てて、唇で繋がった。
寝室は密室。穏やかさと激しさが同時に訪れる場所。知らない自分を知って驚き、果てしない快楽を教えられて、その喜びと快感に震えた。
ベッドの上は、時折その端がずっとずっと先にあって、手が届かなくなる。シーツの海は時には滑らかで心地良く、時にはいやらしく湿って纏わり付く。汗なのか体液なのか、もうそんなのは分からないし、どうでもいい。
毛布の中は狭いけれど、無限に広がる空間。手を繋いでキスをして、最奥で繋がる。ふたりの距離を限りなくゼロにする。そう、限りなく。完全にゼロではない事がもどかしい。この皮膚なんて溶けて、細胞単位で融合してしまいたいと願う。
ふたりをひとつにして、お願い。
そっと閉じた瞼を上げる。
目の前の蒼い瞳に映るのは、自分だけ。
その事実に、酷く興奮して濡れた。彼の蒼い双璧の奥に、淫らに喘ぐ自分の姿を見た時の、あの快感と言ったら。
「ねぇ……目、閉じないで」
「閉じないさ」
「全部、見てて……、んっ……あぁ」
「全部見てる。いく瞬間も、ずっと……見てる」
何もかも見て。全部、見て。
俺だけを。
20100111