自由を奪われたい


 俺は、我が侭かもしれない。


 彼はいつだって優しい。特にベッドの中では。
 決して俺に無理強いをしたりしない。
 いつだったか、俺がほんの少し熱っぽかった時。ハードな訓練が続いていたので、疲れが出たのだろう。何となく体もだるかったのだが、どうしても彼に抱いて欲しかった。
 あの腕で抱きしめられて、高められて、彼の熱を感じたくて。
 ベッドの中で案の定、彼は俺の具合が良くない事を敏感に察すると、肌を重ねようとしなかった。
 俺が幾ら「少しだけ」とか「平気だから」とか、「お願い」と言っても首を縦に振らなかった。
 そして拗ねた俺を優しく抱き締めて、ずっと背中をさすってくれた。
 頭が少し痛くなってきた。あぁ、やっぱり……。もう恐らく、間違いなく上がってしまった微熱を確かめるように、額に寄せられた彼の頬が嬉しかった。
 俺の拗ねていた気持ちは、いつしか消えてなくなった。
 彼の温もりが心地良かった。いつの間にか眠ってしまったくらいに。

 でも。

 彼の内に秘めた激しさを知ってる。
 俺だけに見せる、俺だけしか知らない、あの烈風のような激しさ。
 だから、お願い。
 今夜は、あの激しさで抱き締めて。
 今夜は、自由を奪って。
 俺は我が侭だから、優しいだけでは嫌なのだ。
 だから、お願い。


 貴方の手で、俺の自由を奪って欲しいのです。