雨の日


 今日も外は雨。分厚い雲が空一面を被って、朝からしとしとと雨が降り続けていた。
 「雨、かぁ……」
 ザックスが溜息をつくように言った。
 「雨は嫌いか?」
 アンジールがクスリと笑う。さっきからザックスは、そればかり言っているのだ。
 「うーん……やっぱり晴れてる方が良いな。ほら、俺の名前、『フェア』だし」
 「そうだな」
 「しかし、全然止む気配ねーよな……」
 しとしと、しとしと。天上から降り注ぐ滴。
 「……雨は嫌いか?」
 アンジールが再び同じ質問をした。
 「えっ? んー……」
 どう返事をしようか考えあぐねていたら、アンジールが先に口を開いた。
 「俺は割と好きだな。こうして、お前とずっと一緒にいられる……」
 そして、隣にいるザックスの体に腕を回すと、そっと引き寄せてこめかみにキスをした。
 触れ合う素肌は温かくて心地好い。微かに衣擦れの音が響く。
 「ん……っ」
 肌の上を滑る掌の動きが、再び熱を帯び始める。
 「う、ん……俺も、好き」
 「雨の日」と言いかけた唇を塞がれて、緩く噛まれた。好きな感触にザックスは小さく震える。
 上がる体温、上がる湿度。
 もっと上げて。

 しとしと、しとしと。
 今日も外は雨。
 ふたりで、濡れよう。