017.自惚れる


 些細な事で喧嘩した。
 「どっちが相手の事を、より好きか」とか、そんなくだらない事だと思う。

 俺は多分、アンジールが俺を思う以上に、アンジールの事が好きだ。
 俺は恐らく、ザックスが俺を思う以上に、ザックスの事が好きだ。

 ほんの少し酔いも回っていたから、お互いむきになった。

 俺はあんたが思う以上に、あんたが好きだ。
 俺はお前が思う以上に、お前が好きだ。

 好きになられるより、好きになるほうがいい。
 でもそれは、時によってとても苦しい。
 ふとした瞬間に、それは一方的な自己満足に過ぎないと思ってしまうと、恐ろしく打ち拉がれる。
 例え思いを目に見える形にしても、それは薄いフィルターを通しているようで酷くもどかしい。
 どうして、ただ純粋に好きでいられないのだろうか。
 「好き」という、その事実だけでいいのに。

 先に泣き出した自分の負けだ。
 ザックスはそう思いながらも、涙を止める事が出来なかった。
 目の前の相手が好きだ。
 そんな自分も、好きだ。

 抱き締める。
 言葉なんて役に立たないから、抱き締める。
 抱き締めて、抱き締められて、自負する。
 自分は……、目の前の相手が、




 20121021