014.別れる


 あいつと俺との間には、存在しない言葉であると定義したい。


 * *


 一度だけ考えた事がある。
 もし、あいつと別れたらどうなるだろう、と。
 先の事は分からないし、それは俺自身の事でも同様だ。
 俺があいつの事を嫌いになって、別れを切り出す事になる事が、想像できない。
 あり得ない。
 でも、残念ながら先の事は誰にも分からない。この世の中に「絶対」は存在しない。
 もしかしたら、俺の気持ちとは反対に、別れなければならない状態になってしまう可能性も無きにしも非ずだ。
 こういう事を考えると、あいつとの年齢差を思わずにはいられない。
 あいつはまだ若い。俺だって世の中から見れば、一応若い部類に入るのだろうけれど。だけど。
 これから先、あいつが他の誰かを好きになって俺と別れる事を選択しても、俺はお前の背中を押す。押さなければならないと思う。
 あいつが笑って幸せでいるならば、例えこの身が引き裂かれるような悲しみと痛みを感じても、俺は耐えよう。
 気が触れてしまうほどの、悲しみと痛みであろうとも。
 それより先に、死が俺たちを別つだろうか。それほど、死に近い場所に日常がある事実。
 あいつを送る事になるくらいならば、いっそ自分が先にいってしまいたい。
 お前を失う悲しみを味わいたくない、俺の弱さと我が儘だ。
 あぁもし、今この時より先、数秒先か何十年先か分からないが、例えこの俺がお前を残していく事になっても、
 そう、離ればなれになっても、
 何があっても、



 探し出して、見つけ出して、必ず会いに行く。
 何度でも。




 20120915