「懐かしい」と思い返せるほど思い出を重ねる前に、いなくなってしまった。
もう、会えない。
なのに、其処ここに残る彼。
俺を捉えて離さない、彼。
精一杯、生きた。
色々なものを受け取って、託されて、今日今この時まで生きてきたけれど。
多分これ以上、もう此処には居られない。
もうすぐこの命を、天の何処かにいる神様に返す時が来る。
迎えに、来て。
この時を、あの日からずっとずっと、待ち望んでいた。
もっと一緒に、ずっと一緒に居たかったんだ。
また会えたその時、俺は彼の事を懐かしむのだろうか。
彼もまた、俺の事を懐かしむのだろうか。
「アンジール……」
20120325